収支計算で区別する4つの値
収支計算では、最終持ち点、返し点との差、順位を反映したポイント、Pで表す実収支を区別します。最終持ち点と返し点の差を1,000点単位で表した値が素点(ソテン)です。着順に応じて加減する点は順位点(ジュンイテン)と呼び、この計算例ではウマを使います。Pは計算例だけで使う単位です。
| 項目 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 最終持ち点 | 半荘や東風戦などが終了した時点の点棒 | 40,000点 |
| 返し点 | 素点を計算するときに差し引く基準点 | 30,000点返し |
| 素点 | 最終持ち点と返し点の差を1,000点単位にした値 | (40,000−30,000)÷1,000=+10 |
| ウマ | 順位に応じて移動する順位点 | +20、+10、−10、−20 |
| オカ | 持ち点と返し点の差から生まれるトップ賞 | 25,000点持ち、30,000点返しなら+20 |
| レート | 1ポイントを収支の単位に換算する係数 | 1ポイント=100P |
| チップと場代 | 点棒とは別に加減する要素 | チップ1枚100P、場代1人400P |
25,000点持ち、30,000点返しの四麻では、一人あたり5,000点の差が4人分あるため、素点の合計は20ポイント不足します。この不足分を埋めるトップ賞がオカです。この例ではトップに+20を加えます。
「点」「ポイント」「P」を書き分ける
対局中に使う40,000点、精算表に書く+50ポイント、換算後の+5,000Pは別の値です。記録欄に単位まで書けば、「+50をもう一度1,000で割る」「40,000点にウマを直接足す」といった間違いを防げます。
- 点
- 卓上の点棒。和了や放銃、流局によって局ごとに動きます。
- 素点
- 最終持ち点と返し点との差を、通常は1,000点単位で表した精算途中の値です。
- 最終ポイント
- 素点にウマとオカなどを反映した順位精算後の値です。
- P
- この記事の計算例で使う換算単位です。
オカは不足分の20ポイントをトップに加える
25,000点持ち、30,000点返しの四麻では、開始時の総点数が100,000点なのに対し、返し点の合計は120,000点です。そのため、素点の合計は−20ポイントになります。この20ポイントをトップに戻すと、素点とオカの合計が0になります。
持ち点と返し点が同じなら、この差は生じません。オカを採用しない卓もあるため、名称だけで判断せず、持ち点、返し点、トップに加える値を確認してください。
4つの値を5段階で計算する
- 最終持ち点を確定する:同点時の着順や100点台の端数処理も、この段階で卓のルールに合わせます。
- 素点を出す:一般的には「(最終持ち点−返し点)÷1,000」です。これで点棒が精算用のポイントに変わります。
- ウマとオカを反映する:順位点を加減し、トップにオカを加えます。着順を含む対局結果は、この最終ポイントで確定します。
- レートとチップを反映する:ポイントにレートを掛け、チップ枚数×単価を加減します。
- 場代を差し引く:卓全体の場代を誰がどの割合で負担するかに従います。
ポイント = 素点 + ウマ + オカ
最終収支 = ポイント × レート + チップ枚数 × チップ単価 − 場代の負担分
すでにオカやウマを含む最終ポイントへ、同じ値をもう一度加えてはいけません。入力する値が最終持ち点、素点、最終ポイント、実収支のどれなのか、欄ごとに明記します。
計算前に対局ルールを1行で書く
計算を始める前に「四麻、25,000点持ち30,000点返し、ウマ10-20、オカ20、端数は卓の指定どおり」のように条件を1行で書きます。「10-20」は一般に1位+20、2位+10、3位−10、4位−20を指しますが、呼び方だけでは配分を誤解する可能性があります。精算表には4着分をすべて書いてください。
競技団体やオンライン麻雀でも、持ち点、返し点、順位点、端数処理は同じではありません。Mリーグには独自の持ち点と順位点があり、最高位戦も競技規定によって採用項目が異なります。この計算例の数値ではなく、実際に打つ卓の設定を使ってください。
四人麻雀の収支計算例
例の条件
- 25,000点持ち、30,000点返し
- ウマは1位+20、2位+10、3位−10、4位−20
- オカはトップに+20
- 1ポイント=100P
- チップ1枚=100P
- 場代合計1,600Pを4人で均等負担
点棒から最終ポイントまで
最終持ち点を40,000点、30,000点、20,000点、10,000点とします。返し点との差から素点を出し、ウマとオカを反映すると、着順を含む最終ポイントが決まります。
| 順位 | 最終持ち点 | 素点 | ウマ | オカ | 最終ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | 40,000点 | +10 | +20 | +20 | +50 |
| 2位 | 30,000点 | 0 | +10 | 0 | +10 |
| 3位 | 20,000点 | −10 | −10 | 0 | −20 |
| 4位 | 10,000点 | −20 | −20 | 0 | −40 |
Pに換算して実収支を出す
チップ枚数は1位+5枚、2位−1枚、3位−2枚、4位−2枚とします。場代は1人400Pです。
| 順位 | ポイント換算 | チップ | 場代 | 最終収支 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | +5,000P | +500P | −400P | +5,100P |
| 2位 | +1,000P | −100P | −400P | +500P |
| 3位 | −2,000P | −200P | −400P | −2,600P |
| 4位 | −4,000P | −200P | −400P | −4,600P |
1位の計算を式で追う
- 素点:
(40,000点 − 30,000点) ÷ 1,000 = +10ポイント - ウマとオカ:
+10 + 20 + 20 = +50ポイント - ポイント換算:
+50 × 100P = +5,000P - チップ:
+5枚 × 100P = +500P - 場代:
+5,000P + 500P − 400P = +5,100P
表の順に追うと、1位は40,000点から素点+10、最終ポイント+50、実収支+5,100Pへ変わります。2位は30,000点から0、+10、+500Pです。3位は20,000点から−10、−20、−2,600P、4位は10,000点から−20、−40、−4,600Pとなります。表計算でも素点、順位点、換算、チップ、場代を別の列にすると、どの段階で差が出たか分かります。
オカとウマがゼロサムになる理由
この例の素点は+10、0、−10、−20で合計−20です。トップのオカ+20を加えると0になり、ウマも+20、+10、−10、−20で合計0です。チップも受け取った枚数と支払った枚数を対応させるため、合計0枚になります。場代は参加者間の受け渡しではないため、別の項目にします。
対局ポイントと実収支を別々に検算する
対局ポイントの合計は0
この例では、最終ポイントの+50、+10、−20、−40を足すと0です。採用したウマとオカが点棒の不足分を埋め、卓内の移動だけで精算が完結するからです。チップも+5、−1、−2、−2枚で合計0枚となるため、場代を引く前の収支合計は0Pです。
実収支の合計は場代分だけマイナス
場代を反映した後の最終収支は、+5,100P、+500P、−2,600P、−4,600Pで、合計−1,600Pです。参加者から支払われた場代の合計1,600Pと絶対値が一致するため、計算が合っています。
合計が合わないときの確認順
- 4人の最終持ち点と卓上に残ったリーチ棒の合計が、開始時に配った点棒の総数と合うか。リーチ棒を配り終えた後は、4人分だけで確認する
- ウマのプラスとマイナスが釣り合っているか
- オカをトップに重複して加えていないか
- チップの受取枚数と支払枚数が一致するか
- 場代の総負担額が卓全体の場代と一致するか
端数、同点、トビ賞は計算前に決める
基本の計算に、卓ごとの処理を加えます。最終持ち点が35,700点なら、30,000点返しとの差は+5,700点で、素点は+5.7ポイントです。この+5.7を使うか整数に丸めるか、切り上げ、切り捨て、四捨五入のどれを使うかは採用ルールで変わります。
端数処理は全員に同じ規則を適用する
端数を丸める場合は、最終持ち点を入力した直後に一度だけ処理します。素点で丸めた後、P換算でも同じ端数をもう一度丸めると誤差が重なります。丸め後の合計が0にならない規定では、端数をトップにまとめるなど、追加の手順が定められていることもあります。誰か一人だけを都合よく調整せず、対局前に決めた方法を記録してください。
同点は着順を確定してからウマを付ける
同じ最終持ち点の人がいるとき、起家に近い人を上位とする、順位点を分けるなど、扱いはルール次第です。最終持ち点が同じでも着順が違えばウマが変わるため、まず順位を確定し、その後に順位点を加えます。記録には最終持ち点だけでなく確定順位も残します。
トビ賞や焼き鳥などの追加賞は独立した列にする
追加賞は「その他調整」にまとめず、誰から誰へ何ポイント動いたかを残すと検算しやすくなります。トビ賞として5ポイントを移すなら、受取側の+5と支払側の−5を同時に入力します。外部から加えるボーナスなら合計は0にならないので、その理由と提供元も記録します。
対局開始前の確認メモ
- 持ち点と返し点、オカをトップに加えるか
- 4着分のウマと、同点時の順位決定方法
- 100点台の端数をどの段階でどう処理するか
- トビ終了の有無と、トビ賞の受取人と支払人
- チップの対象、単価、場代の負担方法
卓上に残ったリーチ棒の受取人を決める
リーチ宣言で卓上に出したまま対局が終わった点棒を供託(キョウタク)と呼びます。終了時に残った供託を誰に加えるか、次の対局に持ち越すかはルールで異なります。点棒合計と最終ポイントの両方に重ねて入れないよう、処理する段階も記録します。
よくある収支計算の間違い
点棒とポイントを同じ単位として扱う
40,000点と+50ポイントは別の値です。点棒を返し点からの差に変換し、1,000点単位に直してからウマとオカを反映します。
持ち点と返し点を混同する
25,000点持ち、30,000点返しでは、ゲーム開始時の点数が25,000点、素点計算の基準が30,000点です。この差がオカの原資になります。
場代を勝敗の収支に混ぜる
場代は卓の利用費です。勝敗由来の増減と分けて保存すると、純粋な成績と実際の支出をそれぞれ確認できます。
異なるルールの対局をそのまま比較する
ウマ、オカ、レート、チップ、場代が違えば、同じ着順でも収支は変わります。長期集計では、少なくとも三麻と四麻を分け、主要ルールも記録します。
オカを「全員に配るポイント」と考える
この例のオカ+20は、返し点との差によって素点合計が−20になる分をトップに加える処理です。4人に+20ずつ配るものでも、トップの素点とは別に二度加えるものでもありません。開始点と返し点からオカ総額を一度計算し、受取人を確認します。
チップを点棒や最終ポイントに足す
チップは点棒の外で動くため、40,000点を40,500点にしたり、+50ポイントを+55ポイントにしたりしません。最終ポイントをPに換算した後、チップ枚数×単価の列で加減します。こうすると、チップを採用しない成績集計も同じ対局記録から作れます。
場代込みの値を「麻雀の勝敗」として比較する
毎回同じ場代なら、対局数が増えるほど場代込み合計は下がります。純粋な対局結果を見るときは「ポイントとチップまでの収支」と「場代を含む最終収支」を分けて集計します。二つの数字は減る理由が異なるため、一つのグラフに混ぜると成績を読み違えます。
収支計算シートの項目
紙、表計算、アプリのどれを使っても、次の順序で列を作れば後から再計算できます。入力欄と計算欄を分け、途中で採用ルールを上書きしないようにします。
| 列 | 入力と計算内容 | 確認すること |
|---|---|---|
| A 確定順位 | 1〜4位 | 同点時の順位規則を反映済みか |
| B 最終持ち点 | 卓上の点棒 | 4人合計と卓上に残る供託の合計が開始時総点数と一致するか |
| C 素点 | (B−返し点)÷1,000 | 端数処理を一度だけ行ったか |
| D ウマ | 順位別の加減 | 4人合計が0か |
| E オカ | トップのみ加算 | Cの不足分と一致するか |
| F 最終ポイント | C+D+E+追加賞 | ルール上ゼロサムなら合計0か |
| G ポイント換算 | F×レート | 単位がPになっているか |
| H チップ | 枚数×単価 | 全員の枚数合計が0か |
| I 場代 | 各自の負担分 | 負担合計が卓全体の場代と一致するか |
| J 最終収支 | G+H−I | 全員合計が場代のマイナスと一致するか |
計算が合わないときの逆引き
| 症状 | 最初に見る列 | よくある原因 |
|---|---|---|
| 最終ポイント合計がプラス | DとE | ウマのマイナス不足、オカの二重加算 |
| 最終ポイント合計がマイナス | CとE | オカ未入力、返し点の取り違え |
| P換算後だけずれる | G | 一部の人だけ異なるレートを適用 |
| チップ込みでずれる | H | 受取枚数と支払枚数が不一致 |
| 最終合計が場代と違う | I | 負担人数、端数、まとめ払いの入力漏れ |
検算は最後だけでなく、B、F、H、Jの4段階で行います。早い段階で差を見つければ、後続の掛け算をすべてやり直す必要がありません。
収支と一緒に記録しておく項目
- 対局日時と参加者
- 三麻と四麻、東風戦と半荘戦などの対局形式
- 持ち点、返し点、ウマ、オカ
- 100点台の端数処理と同点時の着順
- トビ賞などの追加ルール
- レート、チップ単価、チップ枚数
- 場代の合計と負担方法
- 最終持ち点、最終ポイント、最終収支
持ち点、返し点、ウマ、オカ、チップなどを対局前にまとめる場合は、麻雀ルール表テンプレートを使うと確認漏れを防げます。
三人麻雀では、順位点の配分や持ち点が四人麻雀と大きく異なることがあります。詳しくは三麻のウマと収支を記録する方法で説明しています。
集計するときはルールを揃える
合計収支だけなら異なるルールを足せますが、原因分析には向きません。同じ+50ポイントでも、四麻のウマ10-20と別の順位点では意味が違います。三麻か四麻か、東風か東南か、持ち点、返し点、ウマ、チップの有無で絞り込めるように記録すると、「着順は改善したのに場代込み収支が下がった」といった変化を分けて調べられます。
平均順位、トップ率、ラス率はレートや場代の影響を受けない着順指標です。収支と一緒に読むときは、同じ期間と同じルールの対局に揃えてください。詳しい指標の読み方は麻雀の平均順位はどれくらいかで解説しています。
麻雀の収支計算でよくある質問
麻雀の収支はどの順番で計算しますか?
最終持ち点から返し点を引いて素点を出し、ウマとオカを加えて最終ポイントを求めます。次にレートとチップを反映し、最後に場代を差し引きます。点棒、ポイント、Pは別の列に分けてください。
ウマとオカの違いは何ですか?
ウマは着順に応じて加減する順位点です。オカは持ち点と返し点の差から生じ、この例ではトップに加えるポイントです。どちらも配分や採否がルールで変わるため、対局前に4着分のウマとオカの受取人を確認します。
収支の合計がゼロにならないのはなぜですか?
場代を除くポイント、チップ、追加賞の受け渡しは、ゼロサムの規定なら全員合計が0になるよう確認します。場代を差し引いた後は、全員の最終収支合計が卓全体の場代のマイナスと一致すれば正しく計算できています。外部ボーナスを採用する場合は、その分を別項目にします。
ルールについて:ウマ、オカ、端数処理、同点時の着順、トビ賞、チップ、場代の扱いは卓や店舗によって異なります。本記事の例は計算手順を示すもので、実際の精算では対局前に合意したルールを優先してください。
参考資料と確認したルール
競技団体の公式規定を参照すると、精算項目にもルール差があることが分かります。掲載した具体例は計算手順を示すためのものなので、実際の精算には対局する卓のルールを使ってください。
- 一般社団法人Mリーグ機構「Mリーグとは」:持ち点、順位点などを含む公式ルールの具体例
- 一般社団法人最高位戦日本プロ麻雀協会「ルール」:競技規定ごとに採否や精算条件が異なる例
計算後は二つの合計を照合する
最終持ち点から素点を出し、ウマとオカを加えて最終ポイントを求め、最後にPへ換算します。対局ポイントと、場代を含む実収支を別々に照合すれば、計算がずれた段階を特定できます。